
見てのとおりです。
生身の人間がジェットエンジンのついた翼を背負って飛んでいます。
ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン…
ジェットパック、ロケットベルトを調べていたら検索に引っかかってきました。
この翼は、離着陸はできずに飛ぶだけです。
ヘリコプターか飛行機に乗って上空まで行き、数分間の飛行をした後、着陸はパラシュートで行います。
これは個人の発明家が出資を募って開発しているデバイスです。将来的には市場に出す意向があるようです。開発費用は2008年5月報道の時点で、$19万(1,520万円)。意外と安い。
発明家の名前はイブ・ロッシー(Yves Rossy , 1959年8月27日 - )。
スイス在住で本業はパイロットです。スイス空軍、スイス航空を経て、現在はスイスインターナショナルエアラインズのエアバスA320のパイロットを務めています。戦闘機、ジャンボジェット機の操縦経験があります。
公式サイトのHistory(履歴)によれば、イヴは何十年もの間、このような機体で鳥のように空を飛びたいと思ってきたそうです。
まさか、若いころに「ナウシカ」を見て「メーヴェ」に憧れたということではないと思いますが…。
Wikiと公式サイト、ニュースを参考に開発状況を時系列にまとめてみました。
2004年6月24日 ジュネーヴ上空で初飛行成功。以降30回以上の飛行実験を重ねてきました。
2008年5月14日 ジュネーブ湖の近くにあるベックスで初の公開デモンストレーションを行い、約6分間の飛行に成功。
2008年9月26日 ドーバー海峡の横断に成功。フランスのカレーからイギリスのドーバーまで9分7秒で飛行しました。公式サイトでは平均時速200km/h、13分で35kmの飛行となっています。この時、最高速度は299km/hに達しています。
同2008年 アルプス越えに挑戦。最高速度は304km/hを記録しました。
2009年11月25日 ジブラルタル海峡横断に挑戦。モロッコのタンジールからスペインのアトランタを目指しました。この時は悪天候のため、スペインまであと3マイルのところで脱出、その10分後にヘリコプターで救助されました。イヴ氏は無傷で、ジェットパック、パラシュートなどの機材も回収されました。
2010年11月5日 新機材での飛行に成功。熱気球で2,400mまで行き、そこから飛行。18分間の飛行と2回の宙返りに成功しました。新機材は翼長が2mになり、動力系も更新されています。
2011年5月7日 アメリカ合衆国のグランド・キャニオンの上空おいて約8分間の飛行に成功。つい最近ニュースを目にした人もいるでしょう。以下にニュースをいくつかピックアップしました。
MSNBC NBCの報道。動画あり。
Daily Mail Online グランドキャニオン飛行の詳細な報道。
「ジェットマン」ついにグランドキャニオンを飛ぶ! swissinfo.chの記事(日本語)。ロッシー氏の御膝元、スイスのメディアなので気合が入っています。動画あり、下記に貼りつけました。 日本語ですがスイス訛りがあります。
イブ・ロッシー氏とJET WINGの紹介動画(日本語)
グランドキャニオン飛行動画(音楽と映像)
翼の素材は炭素繊維で、ジェットエンジンを4発搭載した機体です。
主な諸元・性能は以下の通りです。
ジェットスーツ・カスタム版性能:CUSTOM-BUILT JET SUIT STATS
重さ:54.4kg
翼長:2m
平均速度:201.16km/h
上昇率:329.18m/分
エンジン:Jet-Cat P200×4発
推力:20.41kg×4発
エンジンサイズ:1.5リットル〜3.0リットル
燃料:ケロシン混合燃料(ケロシンに5%のタービン潤滑油を混合)
飛行時間:6〜12分
Weight: 120lb
Wing span: 79" (or 2 metres)
Average speed: 125mph
Climb: 360 yards per minute
Engine type: Four Jet-Cat P200
Engine size: Between 15 and 30 litres
Fuel: Mix of kerosene and 5 per cent turbine oil for lubrification
Flight time: from six to 12 minutes
さて、ここで一番キモとなる、ジェットエンジンの型番「Jet-Cat P200」が明らかになりました。
早速調査調査。
アメリカのラジコン用ジェットエンジン、JET-CAT社の製品です。
写真も一致します。
価格はメーカー直販で$5,495.00(43万9,600円)。
日本での価格は51万8,000円(税込)でした。(MACラジコンセンター調べ)
意外と良心的な値段です。
ロケットベルトと異なり、一番ポイントとなるエンジンが入手できるので類似のジェット・スーツが自作できるかもしれません。
しかし、市場に出すといっても「マーチンジェットパック」と異なり、離着陸ができない、ジェット燃料使用、エンジンは25時間おきにメンテナンスが必要、エンジンの熱対策のためF1用レーシングスーツ着用ではロケットベルト以上に実用性が無いように思います。
唯一のアドバンテージは高速と移動距離だけです。
使用方法として思いつくのは、軍事目的でHALO(High Altitude Low Opening)高高度降下低高度開傘でも、侵入できないような遠方から敵地に侵入することくらいでしょうか。
携行できる装備および重量の問題はありますが、機体とスーツのステルス性を高めたら可能性がありそうな気がします。
これでマーチンジェットパック、ロケットベルト、ジェットマンと3つまとめました。あとは水ジェットロケット、日本製ヘリコプターGEN、ムササビスーツでこのジャンルは一通りまとまるかな。
【関連リンク】
Jetman公式サイト イブ・ロッシー(Eves Rossy )氏、JETMAN公式サイト。
グランドキャニオン飛行動画-YouTube
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