
個人用飛行機具を調べていたら、ウイング・スーツが出てきました。
ムササビのような膜をフライトスーツの脇の下と、股の間に張りパラシュートで着地するまでの間、自由に滑空するフライトギアです。
この発明により、空中からのスカイダイビングはもちろん、命知らずのベースジャンパー(地上の高い場所から飛び降りてパラシュート降下するスポーツ)たちがさらに危険なジャンプを行うようになりました。

ベースジャンプと言えば、オカルトファンの視点からいえば、すぐにピン!と来るのは、スカイフィッシュが初めて発見されたメキシコのゴロンドリナス洞窟です。英語ではツバメの洞窟(The Cave of Swallows)、スペイン語ではゴロンドリナス洞窟(Sotano de las Golondrinas )と呼ばれています。縦穴の洞窟で深さは最大で370mもあり、東京タワー(333m)が入ってもまだ余裕があります。洞窟は下に行く程、広がっているのでベースジャンプで壁面にぶつかる心配はまずありません。
スカイフィッシュはこの洞窟のベースジャンプを撮影した動画に写り話題になりました。
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この時も危険な冒険だと思いましたが、このムササビスーツを手に入れた冒険野郎たちはさらに命知らずなジャンプをしています。
まずは動画をどうぞ。
ハイライトまとめ
Wingsuit Basejumping
このウイングスーツの原型は1997年10月31日に、フランスのスカイダイバー、パトリック・デ・ギャルドン(Patrick de Gayardon)がそれまでのものとは比類のない安全性と性能を持っていたウィングスーツを開発したことによります。ギャルドンは1998年4月13日ハワイでパラシュートコンテナの改良テスト中に事故で亡くなります。
1998年の初頭、オーストラリアのベースジャンパー、トム・ベジック(Tom Begic)はギャルドンのスーツの写真をもとに、彼自身のアイデアを加えたウイングスーツを制作し、ジャンプを行います。しかし、1999年にロバート・ペニック(Robert Pe?nik) に会いロバートがウイングスーツ製造会社を計画していることを知り、開発を中止します。
ヤリ・クオスマ(Jari Kuosma) は友人であるロバートとステインと共に、最初のウイングスーツのプロトタイプを作製。パトリック・デ・ギャルドン氏のウイングスーツを元に、3人で試行錯誤し、飛行テスト及び改良を重ね、生産準備に取り掛かります。ヤリは、ヘルシンキ(フィンランド)で、バードマン(BIRDMAN)インターナショナル社を立ち上げ、ロバートも参加。スロベニアの小さなスポーツ衣料品工場にて生産を開始します。
バードマン社は、世界初の量産型ウイングスーツ、バードマンスーツ(BIRDMAN s.u.i.t.)を発表、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、フランス、イギリス、そしてアメリカへ紹介します。
ヤリはスカイダイバー達にウイングスーツの使用方法を教えるために「ファースト・フライト・プログラム」を開始。このウイングスーツは英国BBCニュースで特集され、初めてバードマンがメディアに紹介されました。
ヤリはアメリカでバードマン株式会社(BIRDMAN Inc.)を設立。米国バードマンの営業担当兼代表の“バード・ベイブ No.1”キンバリー・グリフィンと共に、このウイングスーツ、通称“Nylon Crack”(「ナイロン麻薬」=1度飛ぶとやめられなくなるため)をアメリカ中に販売しています。
バードマン社は安全な製品と、インストラクターのプログラムを作成し、初めて一般のユーザーがウィングスーツを利用できるようになりました。
以下、バードマン社の歴史は公式サイトをご覧ください。めずらしく日本語サイトです。
このスーツは現在日本でも購入可能で楽天で売っています。価格はモデルによって異なりますが、約10万円から18万円程度です。
日本には世界的に有名なジャンパーの伊藤慎一がいます。伊藤氏は複数の世界記録を持つ、世界でも有数のジャンパーです。
埼玉県で伊藤氏が行う講習の受講が可能です。ただし厳しい条件があります。
●受講資格(世界共通)
・ ライセンスを持つ現役のスカイダイバー
・ 過去18ヶ月以内に最低200回以上のスカイダイビング経験を有する者
●参加費用(ヨーロッパ共通)※日本は見つかりませんでした。
・打ち合わせと初めてのジャンプ:30? (3248 円 、1ユーロ 108.2897 円で換算 )
・コーチング&ビデオ:25?(2709円)+モニタージャンプチケット/ジャンプ1回
・グラウンドブリーフィング/デブリーフィング:15?(1626円)
・レンタルウィングスーツ:5?(542円)/ジャンプ1回または20?(2170円)/日
経験者対象であり、ヨーロッパは円高もあって安いのかな?
参考に、日本でのスカイダイビング1回のジャンプ費用が3〜4万円、スクールが1週間で20万円程度です。
このスーツは映画「トゥームレイダー2

左:「トゥームレイダー2」の1シーン 右:同形のスーツを使用したベースジャンプ
伊藤氏が社長のヤリ氏に直接聞いた話をブログに掲載しています。
バードマン社で4着のウイングスーツ(スカイライヤー3)を製作し、2人分それぞれ、本物のウイングスーツと、羽が無いスーツを組み合わせて撮影をしました。実際のスタントは、スイス人のフライヤーが行ったそうです。
人間の生身で空を飛びたいという欲求は本当に強いと思いました。
このスーツは滑空とはいえ、最も生身に近い形で空を飛ぶことを実現した装備品でしょう。
個人飛行器具もあと、水ジェットパックと日本製1人乗りヘリコプターで一応終了です。
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【関連リンク】
バードマン・ジャパン公式サイト 日本語公式サイト。本家(英語)はこちら。
matterclothing こちらもフライング・スーツを製造しています。
プロフェッショナル・ウイングスーツ・パイロット 伊藤慎一オフィシャルサイト
ウイングスーツ - Wikipedia 日本語wiki。情報量は少ないので、詳しくは英語版で。
【楽天市場】ウィングスーツ 楽天で買えます。
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