2012年11月20日

スターゼリーとインドの赤い雨の謎 "Blood Rain and Star Jelly"


※2009年にスコットランドで目撃されたスターゼリー。


※上の写真の遠景。スターゼリーがどのような場所にあるか、良く分かります。

2012年11月19日(月)日本テレビ系列で放送された「世界まる見え!テレビ特捜部 秋の夜長のミステリー&都市伝説スペシャル」を見ました。

ゲストは次のとおり。
荒俣宏、片平なぎさ 栗原類 関暁夫 高橋英樹 千秋 中川翔子

そのうち、ナショナルジオグラフィックチャンネルの「赤い雨(血の雨)とスターゼリー "Blood Rain and Star Jelly"」と「モントークモンスター」が面白かったので調べてみました。「モントークモンスター」は別記事にします。

45分の "Blood Rain and Star Jelly"の番組全部が720dpiのハイビジョン画質でYoutubeに上がっていました。


番組の概要は次のようなものでした。

地球には毎日、彗星のかけらや小惑星が100トン以上も大気中に降り注いでいます。

1969年9月28日に流星群がオーストラリア、マーチソンで見られました。科学者たちは、後に隕石のかけらを200ポンドを集め、その中にアミノ酸などDNAを構成する物質を発見しました。

NASAはこの流星物質を研究し、シアノバクテリアを発見しました。それらは多くが地球上で知られているシアノバクテリアの属と種に識別することができました。

宇宙から来たと思われるゼリー状の物質は、スターゼリーと呼ばれています。それらはastromyxin、スタースライム、星から来た腐敗物、およびブロブ"blob"として知られています。スターゼリーは、普通、流星群の後に発見されています。記録は中世以降になりますが、多分それ以前から見られたものでしょう。

スターゼリーは、多くの場合、硫黄や腐った卵のような悪臭を伴います。この謎の物質は一度触れると崩れ去り、溶けて無くなってしまいます。このスターゼリーは世界中の様々な科学者によって採取され、分析されてきました。

この奇妙な物質の例としては、1950年フィラデルフィアで降ったものがあります。二人の警官が空から物体の落下を目撃しました。彼らはそれが落ちている場所に急行し、隕石の代わりに、地面にゼリー状の物質を見つけました。結晶のようなドーム型の円盤状の、直径1.8m、紫がかったような霧を放出する物体でした。警察官の1人は、それを手で触りましたが、溶解し棒状のかすが残りました。

この事件は、「ブロブ」 "The BLOB"というホラー映画を生み出しました。映画の元になったこの事件については意外と知られていません。

この映画は日本のテレビでも、「人喰いアメーバの恐怖」というタイトルで放映されました。TV放映もされ夢中で見たものです。放映の翌日は、学校などでも結構話題になりました。下記Amazonのレビューにも同様の書き込みがあります。また、これをきっかけに"BLOB"というモンスターも誕生し、WizardryなどのRPGゲームに登場しています。
 
左:映画「The BLOB」。邦題「人喰いアメーバの恐怖」。1958年製作。
右:映画「Beware! The Blob/Son of Blob 」。邦題「人喰いアメーバの恐怖2」。続編1972年製作。
※画像クリックするとAmazonに飛びます。

別の事件が1979年8月にテキサス州フリスコで起こりました。シビルクリスチャン夫人がペルセウス座流星群の後、庭に紫色のスターゼリーを発見しています。彼女はそれを、ホースで洗い流しました。

1994年8月ワシントン州オークヴィル。ペルセウス座流星群の後ゼリー状の雨が町中に降りました。ビバリー・ロバーツは、庭の木の枝を覆っているゼリーを発見しました。このゼリー状の物質に触った多くの人が、激しいめまいを起こし、病気になり、多くの人が入院する事態となりました。そのゼリー状の雨はオークヴィルの街にに散発的に降り続けました。住民は町の上空を黒いヘリコプターが何機も飛んでいるのを見たと主張しています。

ブラックヘリコプターが人体に有害なケムトレイルを散布している、という陰謀論に関連する主張です。

マイクマクドウェル博士は、この物質を分析し、病気の原因となる有毒物質を出す2つの生物を発見したと述べました。しかし、その後研究室からそのサンプルは消え去っていました。

冷凍庫でゼリーの一部を保管していた他の住人が、それを民間の研究施設に送って分析を依頼しました。微生物学者ティム・デイヴィスは細菌や核を持つ真核細胞を発見したといいます。

スコットランドで2009年にゼリー状の物質が大量に目撃が報告されました。これはBBCのニュースにもなっています。

インドに降る赤い雨は2001年に起こった事件が有名です。

※インド、ケーララ州で降った赤い雨。(画像はイメージです。)

2001年7月25日から9月23日にかけてインド南部のケーララ州で赤い色の雨が度々降りました。ひどい時には服がピンクに染まるほどだったと言います。色は黄、緑、黒に近い場合もありました。なお、ケーララ州で色が付いた雨が降ったという報告は古くは1896年にあり、それ以来、数回報告されていいます。

隕石や彗星内部に生物が潜んでいて、それが降った後に赤い雨や、スターゼリーを降らせているのではないか、という説を番組では紹介しています。

その例として、地球上の生物で最も苛酷な環境に耐えることのできる生物、「クマムシ」を取り上げていました。クマムシは「乾眠」という状態になると、とても生物が生存できない状況でも生き延びることができます。

クマムシの生存できる極限状況は次のとおり。(Wikiから引用)
乾燥 : 通常は体重の85%をしめる水分を0.05%まで減らし、極度の乾燥状態にも耐える。
温度 : 151℃の高温から、ほぼ絶対零度(0.0075ケルビン)の極低温まで耐える。
圧力 : 真空から75,000気圧の高圧まで耐える。
放射線 : 高線量の紫外線、X線等の放射線に耐える。X線の致死線量は57万レントゲン。(ヒトの致死線量は500レントゲン)

しかし、数百年前からスターゼリーやインドの赤い雨は知られており、それでも我々人類は特に問題も無く生活しているので、もしそれが事実だとしても、心配することはないようです。

さて、謎解きです。

まず、スターゼリーの謎から原因を考えていきます。

日本語は相変わらず、世界においてはマイナー言語で、日本語で検索しても良い情報はほとんどありません。ところが、英語で検索すると、スターゼリーのWikiもあり、写真つきで原因を考察したサイトが間単に見つかりました。

スターゼリーの正体として挙げられているものには次のようなものがあります。

・鳥や動物の吐瀉物

スターゼリー "Star jelly"のWikipediaに掲載されている、両生類の吐瀉物。スターゼリーに良く似ています。鳥や動物がカエルなどを食べた場合、栄養にならないゼリー状の卵巣、粘液などを吐き戻すことが知られています。

・イシクラゲ。淡水藍藻類、シアノバクテリアのコロニー。

Wiki画像のイシクラゲ、Nostoc commune。これも良く似ています。なお、イシクラゲは食用にもなります。実食の記録がありました。結構おいしいそうです。

イシクラゲ - Wikipedia イシクラゲの解説

Gloeocystis、などの藻類。

これもスターゼリーに良く似ています。

Gloeocystis - Wikipedia 英語の簡単な解説。

・粘菌

白い粘菌。スターゼリーの一部は粘菌もあることでしょう。

真正粘菌(変形粘菌) - Wikipedia 粘菌の解説

・カエルの卵

減水で地上に出てしまったカエルの卵。カエルの卵を他のものと間違える人は少ないでしょう。やはり他の動物に食べられた卵の吐き戻したものが、スターゼリーに誤認されたものが多いと思います。

・カエルの死骸(画像なし)
死んだカエルが少し経つと腐敗と動物に食べられることにより、栄養にならない粘液、卵のゲル状物質だけが残されスターゼリーになる、という説があります。1824年に出版された「ヒキガエルの自然史」" Natural History of the Toad"にも、ヒキガエルの死骸がスターゼリーになることが書かれています。

Exidia nucleata(ヒメキクラゲ類)

これは良く似ています。これもWikiの画像ですが、この記事TOPのイギリスの2枚の画像もこれでしょう。画像検索でExidia nucleata検索すると似た写真がたくさん出てきます。

Exidia - Wikipedia キクラゲ科のキノコExidia属のwiki。

結論としてはやはり、Exidia nucleata(ヒメキクラゲ類)の誤認が一番多いと思います。雨上がりにはキクラゲ類は大きく膨らみます。トップの画像も雨上がりの草原の丘です。

しかし、これらで説明のつかない事件がまだ残りますが、それぞれ合理性のある説明、仮説が英文サイトには書かれていました。

1979年8月のテキサス州フリスコ、シビルクリスチャン夫人の事件は、バッテリー液が地面に漏れたものではないかという説がWikiに書かれています。

1994年8月ワシントン州オークヴィルの事件はアメリカでも大きな事件でした。ブロブ(ゼリー)状の雨が降ったのは事実で、その原因が何か? ということははっきりとは分かっていません。軍用機がゲル状の生物兵器と思われる物質を散布したという説、航空機の廃棄した、し尿であるという説などがあるようです。事実、回収されたサンプルからは人の細胞が見つかったそうです。これはし尿説を裏付けるものですが、航空機からし尿を投棄する際には青色の消毒薬を混ぜている(のでゼリーも青色になる)はずだ、という反論もあります。

1994年8月にワシントン州オークヴィルでゼリー状の物質が降り、それに触れた人が病気になったというのは事実ですが、それが宇宙由来のスター・ゼリーであるという根拠はありません。

インド、ケーララ州に降った赤い雨については、日本語のWikiもあり詳しく考察されているので、ここでは概要のみ記載します。

結論としては、空気中で繁殖する藻類が大雨により大繁殖し、その赤い胞子が雨に混じって降ってきたものという説が一番有力です。

ケーララの赤い雨の試料(右下)と顕微鏡写真。


地衣形成藻属の陸生藻類Trentepohlia。現地調査によれば、この地域のほとんどすべての木々、岩、はては街灯までこの藻類に覆われていたそうです。見ての通り赤い胞子をつけています。これが雨に混じって降ってきたのが、この赤い雨の真相のようです。

Wikiには仮説として、番組でも紹介されていた宇宙からの飛来説も載っています。

【関連リンク】
Star jelly - Wikipedia 英語ですが、簡潔に分かりやすくまとまっています。
Blood Rain and Star Jelly - DocuWiki BBCのスターゼリーと赤い雨のまとめWiki。
The World's Best Photos of starjelly frickerからスターゼリーと誤認されるであろう画像をまとめています。
Star Jelly Mystery solved スターゼリーの正体の仮説と、画像へのリンク。
BBC - The 'jelly' mystery 2009年8月にスコットランドで見つかったスターゼリーについての報道。
ケーララの赤い雨 - Wikipedia インドで降った赤い雨の解説。
ファフロツキーズ - Wikipedia 雨に混じって魚や動物が降る現象の解説。

スポンサードリンク

posted by 桜 真太郎 at 12:34 | Comment(0) | 自然
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: