
※兵庫県の砂利採取場で発見されたツチノコの写真。民明書房刊「怪奇!日本奇獣図鑑」より引用。

※新潟県の山中で発見されたツチノコの写真。民明書房刊「怪奇!日本奇獣図鑑」より引用。
日本で最も有名なUMAのひとつ、ツチノコ。
新聞や、TVなどで定期的に「ツチノコ発見か?」というニュースが流れます。しかし、最終的に標本が獲得されて、新種発見となることはありません。
また、ツチノコに懸賞金をかけて捜索!、というニュースも良く目にします。過去20年位のツチノコ懸賞金のニュースをまとめてみました。
2006年6月 毎年開催 新潟県糸魚川市 生体捕獲で賞金1億円、写真提供は100万〜10万円。
募集は通年だが、年1回6月に捜索のイベントを行っている。
1993年9月 兵庫県美方郡美方町 別荘地百坪
1992年8月 兵庫県千種町 生体捕獲2億円、死がい1億円※同町の年間税収額に相当
1991年5月 奈良県吉野郡下北山村 生体捕獲100万円、死体で50万円、抜け殻30万円
1989年2月 広島県上下町 賞金100万円
1988年4月 毎年開催 岐阜県 東白川村 賞金100万円 2012年は賞金123万円
1989年頃から、ツチノコに懸賞金をかけて捜索する試みがなされています。
TOPの画像にもありますが、胴体が太く、頭は三角、首はくびれている、というのが特徴的なツチノコの姿です。
歴史等、詳細は日本語wikiにまとまっていますので、そちらをご参照ください。ここではツチノコの特徴のみ引用します。一部加筆訂正しています。
------------------wiki引用ここから
目撃談などによるツチノコの特徴
テレビ番組などで、ツチノコ捕獲に成功したとする話も取り上げられるが、「たたりを恐れて逃がした」「死体が消えてしまった」といった理由で追求が打ち切られ、客観的にその存在を証明できた事例は無い。
------------------wiki引用ここまで
今までこの記事TOPのような鮮明なツチノコの写真が撮影されたことはありません。ほとんどがマムシやヤマカガシなどの誤認と思われます。また、死体が見つかっても、腐乱が進んでいて原形をとどめていないものが多く、実証には遠いものです。

※ヤマカガシ。ハブ以上の猛毒を持つ日本最強の毒蛇。

※マムシ。日本(西南諸島以南除く)で最も恐れられている毒蛇。胴の膨らみがツチノコに良く似ている。
新潟県、糸魚川市の公式サイト「つちのこ探検隊」の公式サイトにある、画像も頭が隠れていて良く分りません。

※「つちのこ探検隊」にあるツチノコ画像。確信犯です(笑)。エサを食べて胴体が膨らんだマムシかヤマカガシと思われます。
また、岐阜県で飼っていたペットが逃げ出したものが発見され、ツチノコだと騒ぎになった生物にマツカサトカゲがあります。

※マツカサトカゲ、学名:trachydosaurus rugosus。足があるのを除けばツチノコにそっくりです。
さて、謎解きです。
ツチノコの正体ですが、古くは「野槌」「野槌蛇」と呼ばれる妖怪が古文書に記載されており、古くから日本に生息するUMAではないか、という説があります。

※「信濃奇勝録 巻之1」井出道貞 1834年(P.14)に記述のある野槌。
馬篭より妻籠の間、一石峠の山中に出る。
八月の頃たまに出ると言えども稀である。
形は蛇のようで、中が太く、大小がある。
長さ一尺二、三寸(36cm〜39cm)、太さ一尺(30cm)もあるが蛇のようである。

※『野山草木通志』 畔田翠山に記述のある野槌。
文政六年(1822)正月中旬のことである。高野寺領の在田(有田)郡梁瀬村の山中に奇妙な蛇が出てきたが、動くことができなくなった。人が尋ね釆て鉄砲で撃ち殺した後に土中に埋めた。其の蛇の大きさは胴回り五尺、長さ三間。その背は黒褐色、巨大な松の樹が臥せっているが如く、腹に鱗甲があり、黒色で青を帯びていた。頭と尾は身よりも細くて、土人が野槌と評しているものは此れであろう。
「野槌」はゲゲゲの鬼太郎のアニメでも何でも吸い込む魔獣で、鬼太郎が手も足も出なかった思い出が強く残っています。自然の神である野槌にはさすがの鬼太郎も勝つことができませんでした。

※水木しげる画の野槌。?水木しげる
現在は何でも吸い込む魔獣と言えば、ピンクの悪魔、任天堂人気ゲームの主人公が思い浮かぶ人が多いと思いますが、昭和時代は鬼太郎の野槌でした。

※何でも吸い込むピンクの悪魔。?任天堂・HAL研究所 野槌とどちらが吸い込み力が上でしょうか?
主人公だから良いものの、敵キャラであったらコピー能力を含め、恐るべき存在です。
それが、マスコミに話題になったのは1972年に、作家の田辺聖子が、ツチノコ捕獲に情熱を燃やす作家山本素石をモデルとした小説『すべってころんで』を朝日新聞紙上に発表したことでしょう。これにより、ツチノコの名が全国的に知れ渡りました。
また、1973年、ツチノコに遭遇した経験を持つという漫画家の矢口高雄が、ツチノコをテーマとした漫画『幻の怪蛇バチヘビ』を、週刊少年マガジンに発表しました。これにより全国の少年にツチノコが知れ渡り、ツチノコブームを作ることとなります。

左:「幻の怪蛇バチヘビ」を含む単行本 右:矢口高雄の代表作「釣キチ三平」
※画像クリックでAmazonに飛びます。
これを受け、全国でツチノコ探しブームが起こりますが、一体も見つかることはありませんでした。各地域の懸賞金も、実は裏があり、参加費数千円を徴収したり、宿泊とセットで町おこしを図るのが大きな目的でした。
さて、この記事TOPに掲載した画像ですが、引用元が民明書房の刊行物です。民明書房とは少年ジャンプの人気コミック「魁!! 男塾」の故事来歴を表す書籍を発行している、架空の出版社です。
当然、本記事の画像も架空のもので、ツチノコの正体として一番有力視されている生物、アオジタトカゲの足を画像加工で消したものです。アオジタトカゲは1970年代に輸入が始まり、このツチノコのイメージを作ったと言われる、オーストラリア産のトカゲです。足がある以外は、伝説のツチノコそのものの姿です。
ツチノコが話題になる前の1968年の奥吉野の伝承に興味深いものがあります。
「昔、女の人が仕事に行ったら、上からツチノコが、ごろごろとまくれてきた。これにはトカゲのように短い足が4本あり、人間の足にあたると、早く洗わなければ腐るという。」
ここには、ツチノコには足があるとはっきり書いてあります。ツチノコの姿に関する興味深い伝承です。
TOPの加工前画像引用元は、Blotched Blue-tongued Skink Photo、2番目の画像引用元は、SVG - Blue Tongued Skink Care。


左:加工前、足があります。 右:加工後、足が消えています。


左:加工前、足があります。 右:加工後、足が消えています。
元画像はどちらもしっかりと足があります。画像加工に使用したソフトはPaint.NET。簡単な加工はこのソフト(フリー)で十分です。結構うまく足が消せました。
「世界の謎と不思議」のツチノコ記事、いかがでしたでしょうか。Wikiも含め、ツチノコの正体はアオジタトカゲ、と書いてあるサイトはたくさんあります。しかし、足が無かったらどのように見えるのか?、ということでアオジタトカゲの足を消した画像を掲載したサイトはありませんでした。実際に見てみると想像以上にインパクトがありました。本当は記事公開日が4月1日だったら良かったのかな。
記事にインパクトをつけるための、東スポかWeekly World Newsなみのタイトルはご容赦ください。
【関連リンク】
ツチノコ - Wikipedia 良くまとまっています。
つちのこ探検隊 新潟県糸魚川市の公式サイト。賞金の応募はここから。
地域づくり団体ツチノコ共和国 ツチノコに懸賞金をかけている、奈良県吉野郡下北山村のサイト。
近代デジタルライブラリー 信濃奇勝録. 巻之1。P.14に野槌の記載があります。
国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース 1960年から1994年に採取されたツチノコの伝承が23件あります。単一種の目撃ではないだろう、ということです。
魁!!男塾 - Wikipedia 民明書房 架空の出版社、民明書房の解説。作中に出てきた出版物一覧あり。
Paint.NET ちょっとした写真の加工、お絵かきはこれで十分。
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お返事遅くなりましたが、宿題はうまくいきましたか?
ツチノコは日本のUMAの中でも最も有名なもののひとつです。ぜひ、謎を解明していってください。
すみません、お返事遅くなりました。確認して記事を訂正しました。情報提供ありがとうございました。
朝日新聞1988年2月26日 東京 朝刊 29P(第3社会面)に記事がありました。以下は記事の引用です。
ツチノコで村おこし 奈良県下北山村
「氏名ツチノコ、通称ノヅチ。村内にて昔より目撃者多数なるも、実体不明。この際、徹底的にすみかをあらため、生け捕りに」−−奈良県下北山村が4月16、17日に開く「ツチノコ・シンポジウムとツチノコ探検の集い」の参加者50人を募っている。1泊3食、保険代などを含め1人1万円。万一、捕獲できたら、賞金100万円を参加者全員で分配するそうな。
村役場ツチノコ係(07468−6−0001)へ。
>民明書房刊「怪奇!日本奇獣図鑑」読みたいと思って探してしまいました。。
へへっ! 「魁!! 男塾」を青春時代に読んでいた私たちと同じ思いを共有しましたね!