2011年07月16日

アメリカはなぜ戦争をやめられないか? 国民感情の視点から

アメリカは第二次世界大戦以降も、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタン戦争など、大きな戦争を継続的に起こしています。

アメリカが戦争を継続的に行う理由は次のようなものが挙げられます。
・世界の警察としての国際社会の要請
・軍産複合体と政府との関係
・古い兵器の処分と新兵器の実験
・石油資源確保

このうち特に軍産複合体と呼ばれる、軍事産業とアメリカ政府の関係については、近年日本でも良く知られています。

わかりやすく解説をした書籍も多数出版されています。
戦争中毒―アメリカが軍国主義を脱け出せない本当の理由
まんが現代史 アメリカが戦争をやめない理由 (講談社現代新書)
軍産複合体のアメリカ―戦争をやめられない理由

ここではそうした視点とは別の日本人はほとんど知らないであろう、アメリカの国民が戦争を必要としている理由を書いていきたいと思います。

以前、「アメリカとイギリスの特別な関係」の記事を書いた時に、米英の小説を大量に読んだことを書きました。

その中で、一般的なアメリカ人、特に保守的な田舎町での戦争に関する感覚に触れて少し驚きました。

アメリカでは大人として認められるために、通過儀礼として志願して戦争に行く必要がある、ということです。

一般的な国民にこのような意識があるため、軍産複合体、経済の情況とは全く別の部分でも、アメリカは最低でも10年に一度戦争を行う必要があります。平和な時代が続くと、若者が戦争に行く機会が得られないからです。

ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン…

日本では「戦争は悪いこと」と小学生のころから繰り返し繰り返し教育が行われ、マスコミも「戦争は悪いこと」と口を揃えて大合唱をしています。日本の同盟国である、アメリカ人のこのような戦争に対する感情が表に出ることは絶対にありません。

しかし、アメリカ人の視点でアメリカ人が書いた小説には随所にこの背景が描写されています。

祖父は太平洋戦争、父は朝鮮戦争、叔父はベトナム戦争、兄は湾岸戦争にそれぞれ志願して従軍し手柄を立てた話を、アメリカの子供たちは小さいころから聞かされて育ちます。

アメリカにとって戦争は正義であり、志願して戦争に行くのは国民の義務であり、誇りだという国民感情。

アメリカ合衆国の建国自体が、イギリスとの血みどろの独立戦争を戦い抜いて勝ち取ったものです。その気持ちが常に国民の根底にあるのでしょう。

特に田舎町だと、戦争に参加してないと地域社会からも一人前の大人として認められない、という現代の日本人からは想像できないような事情もあります。

アメリカにとって戦争は正義であり、経済上の理由からも必要なことであるけれども、戦争で兵士が死ぬことはあってはならない、という考えが出てくる所以です。

国民の通過儀礼としての戦争で、後遺症の残らない負傷はまだ良い、名誉の負傷で勲章も授与されるけれども、死んでしまっては本末転倒というわけです。

それを実現するために、兵器のハイテク化、兵士装備のハイテク化、無人兵器の開発を積極的に行い、死傷者、特に死者を減少させることに躍起になっているわけです。

先のイラク戦争で米兵の捕虜に対する虐待がニュースになりました。虐待したのは「州兵」の若者であり、まさに通過儀礼のために戦争に参加した若者がアメリカ的なノリで引き起こした事件だと思います。ニュースで虐待の写真を見ましたが、その思いを確信しました。

アメリカ国民の戦争に対する感情をまとめて箇条書きにすると次のようになります。
・若者が一人前の大人として認められるためには志願して戦争に参加する必要がある。
・戦争で手柄を立てて勲章がもらえればなお良い。帰国後の自慢話の種になる。
 ※激戦地に居た、ということでも可。尾ひれをつけて自慢話の種になります。
・戦争に参加することで死んではならない。(本末転倒である。)
・アメリカ人は子供の頃から、祖父や叔父、父、兄などから戦争の体験談を聞かされて育ち、
 男子であれば自分も戦争に行くのが当たり前であると思っている。
・若者が若いうちに戦争に参加するために最低でも10年に一度、戦争をする必要がある。
・戦争がない期間が続くと、国民から政治家に対し戦争開始の圧力が高まり選挙にも影響する。

上記はあくまで米英の小説家の目から見た世界観によります。小説は作者の世界に対するフィルターを通して作品が描かれますので、マスコミや書籍でも書かれないような国民感情が現れるのが面白い。

また小説には軍人が手柄を立てるためには戦争が必要であり、そのためにも定期的に戦争が必要であるといった事情も書かれています。Wikiによれば2006年の時点で、アメリカの就業人口における軍人の割合は1%、総人口に対しては0.5%、144万人です。この人たちが手柄を立て、昇進するのに戦争が必要だというわけです。

政治経済、軍産複合体などとは別の国民感情として、アメリカが戦争を必要としているということは意外と知られていないと思いますので、ちょっと書いてみました。

内容の真偽を含め、信じる、信じないはあなた次第です・・・。

【関連記事】
アメリカとイギリスの特別な関係

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posted by 桜 真太郎 at 10:17 | Comment(1) | TrackBack(0) | 陰謀論

2011年06月13日

アメリカとイギリスの特別な関係


アメリカとイギリスは特別な関係のある国です。
イギリスの首相やアメリカ大統領が何度となく、両国の特別な関係について発言をしています。

私は米英の小説が好きで既刊のハヤカワ文庫ノベルスを中心に、ハヤカワ文庫ミステリと併せて数百冊以上読破しています。

小説は作者の世界観を通じて作品が構成されているので、それを大量に読むうちに、米英の特別な関係、アメリカ人、イギリス人のキリスト教に対する思いなどに触れてかなり感じることがありました。

簡単にいうと、アメリカとイギリスは同じ国と言っても過言ではありません。
(米英の小説家の世界観からいえば、ということです。)

日本人の感覚でいうとアメリカは北海道のイメージ、明治になって屯田兵を送り込み開拓した新天地、イギリスは京都のイメージ、1,000年の古都、昔の風習を伝えたゆかしい人々の住む地というとわかりやすいかも知れません。

違う場所に住んでいても日本人であることには違いありません、それと同じで英連邦の国々は住む場所と政府が違うだけで同じ民族、という感覚が根底に流れています。

この感覚は随所に出てきます。

アメリカから見たイギリスは親戚の口うるさいおじさん、厳格な父親、祖父のイメージです。

イギリスから見たアメリカは、正義感にあふれる元気いっぱいのたくましい息子(若者)、ただし、反抗的で暴れ者、手におえないのが玉に傷、といったところです。

アメリカの映画、TVドラマで繰り返し繰り返し取り上げられるのが父親と息子の愛情です。

古くは「逃亡者」、映画では「スターウオーズ」、「インディジョーンズ」など繰り返しこのテーマが描かれています。

また、アメリカの若者、息子像は反抗的で無軌道なイメージが好まれ、これも繰り返し描かれます。

この理由がやっとわかりました。

反抗的な息子はアメリカ、それ自身の投影であり、厳格な父親はイギリスの投影だったのです。

父と子の物語は実はイギリスとアメリカの関係を描いたものだったと解釈すると、この疑問が解消します。

政治・経済を支配している層から庶民に至るまで、米英で親戚同士の家系が数多くあることも事実です。

フリーメーソンや白人、WASPの陰謀論を解釈するときに、この関係を頭に入れて考えるとうまく説明できる場合が多いと思います。

いまは書きっぱなしの記事ですが(ブログだからねw)、追って傍証の事実を追記していきます。

白人と黒人の関係、イギリスとフランス、スペインの関係、キリスト教への篤い信仰、アメリカ南部の人種差別、アメリカ地方都市の慣習、英語の訛り、敬語についても気が付いたことがたくさんありました。

これらも興味深い内容がありましたので、機会をみて書いてみたいと思います。



【2011年7月17日追記】
傍証となる事実を追記します。

「america britain」で検索すると関連する記事がたくさん見つかります。

本記事の国旗画像を借りたサイトには次のような記述があります。
“Americans actually share the same set of basic human values and perceptions as their British cousins.”(アメリカ人はイギリスのいとこのように、基本的な人間としての価値観や認識などを実際に共有しています。)、また記事の冒頭にも “special relationship” (特別な関係)の記述があります。

検索のトップは「British America」のWikipediaが出てきます。1607?年から1783年までイギリスの植民地になっていた北米大陸の地域を表す言葉です。

また2番目は「Britain and America」というサイトです。解説の趣旨は次のように書かれています。「多数の欧米メディアの反アメリカニズムに緊急に対抗するために、必要な情報を提供します。BritainAndAmericaは2つの偉大な国の共通関心事に関する批評を毎日提供します。このブログは、強力な欧米関係は、安全で公正かつ繁栄する世界にとって重要であると信じます。」

少し検索しただけも両国の特別な関係は明らかです。

ただし、特に有事(戦争)の際に、イギリスがアメリカに従属的に賛成しているように見えることを良く思っていない、イギリス人も少なくありません。

アメリカは世界中で継続的に戦争を行っていますが、戦争を開始する際に国際社会の承認を必要とします。過去にイギリスがどの時点で賛成を表明したかという報道は、日本でもかなり詳細にされています。この承認を一番にする時と、国内の反対勢力が強い中でやむを得ずする場合があることを指しているものと思われます。

【関連リンク】
British America - Wikipedia ※日本語はありません。
Britain and America 上記で紹介したブログ。
World Needs Strong, Independent Britain ? And the Special Relationship Atlantic Council 米英の特別な関係を書いたニュース記事。本記事TOPの画像はここからお借りしています。

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posted by 桜 真太郎 at 22:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | 陰謀論