"Turning the World on its Head"
半世紀ほど前に注目を浴びながらも、表舞台から消えていった地球膨張説…しかし、地道に膨張論の研究を続ける科学者らがいる。地球が膨張しているとする証拠とは?地球の成長と自転スピードとの関係とは?なぜ、日食直後の地震が予知されたのか?ニュートリノと地球膨張の関係とは?さまざまな角度から、地球膨張の可能性について検証する。
http://japan.discovery.com/episode/index.php?eid1=917302&eid2=000000
5月に金環日食スペシャルとして放映されたディスカバリーチャンネルの番組を見ました。日食と地球の関係、太陽と地球の関係から、地球膨張説を導き出し、重力変化の理由、恐竜絶滅と地球重力増加説も説明していました。
「ムー」にも地球膨張説と恐竜の絶滅についての記事が載ったことはありますが、基本的な誤りなどがあり、説得力のないものでした。
地球の質量に変化がなく、地球が膨張しただけでは、地表面の重力は増加するどころか減少します。地球の重力が増加するためには地球の質量が増加しなければなりません。
今までこの説明が十分でないため、地球膨張説と重力増加による恐竜絶滅説は反対派に一瞬で論破されていました。
この番組では、太陽から放射されたニュートリノを地球の中心にあるコア(核)が吸収することにより地球の質量が増加しているという仮説を紹介していました。
以下、番組のまとめです。
1999年8月11日正午、アルプスが闇に包まれ中央ヨーロッパで皆既日食が起きた。
オーストリアのクレムスミュンスター修道院は日食が見られる皆既帯の中心に位置している。この修道院には天文台があり、長さ53mの振り子が吊るされている。1851年フーコーはこうした振り子を使用して地球の自転を証明した。1999年8月11日、日食と地球の自転の関係を観測するため、固定していた修道院の振り子を切り離した。
振り子の様子をビデオで記録した。予想通りその軌道は時計回り1時間に11度づつずれていった。ところが日食の開始から6時間後、振り子は通常の軌道から大きく外れた。
考えられる理由の一つは、その時地球が異常に早く自転していた、ということである。
月の影(日食)がオーストリアからトルコに移動したころ、トルコの地震計が局地的な揺れを観測し、その後大地震が発生した。トルコ大地震では約2万人が亡くなった。
1999年8月のトルコ大地震は日食と関係があるのだろうか?
7年後の2006年3月、トルコで再び日食が起こった。1999年の惨事を忘れられない人々は即席のテント村に避難した。地震と日食の関係について発言したトルコの科学者が、デマを流したとして起訴される事態も発生した。
しかし、地震と日食の関係は理論的に説明可能だと言う科学者もいる。もし、彼らの主張が正しければ地球への影響は地震よりもはるかに大きいことになる。
まずは「時間とは何か」を確認しよう。
何千年もの間、人間は地球の自転を利用して時間を測定してきた。始まりは日時計。天頂の太陽が再び天頂に来るまでの時間を「太陽の日」と呼んでいた。地球の自転は不規則なため現在は原子時計を使って正確な時間を測定している。極めて正確な原子時計も地球の自転に合せて調整が必要となる。ドイツではそれを国立計量研究所が行っている。
物理学者のアンドレアス・バーク博士"Dr. Andreas Bauch, Physicist"は述べます。
現代の時間システムの基礎単位である「秒」は1900年頃、地球の自転との関係で決定した。しかし、自転の速度は時と共に変化する。潮の満ち引きの摩擦により遅くなったり、地表や地球内部の質量の分布によっても速度が変化する。そこで「うるう秒」を加えて時間の調整を行っている。最近では平均して18か月に1回「うるう秒」を加算して調整している。
これは1年に約0.7秒という計算になる。しかし、この時間を積算していくと驚くべき結果が表れる。科学的な根拠によれば9億年前は1日は18時間であったという計算になる。
物理学者のコンスタンティン・マイル教授"Prof. Konstantin Meyl, Field Physicist"の専門は電磁場である。地球の自転速度が遅くなる原因を研究していた。マイルは回転するすべてのものに関心がある。
たとえばアイススケートである。100年以上前からスケートはある現象をうまく利用している。スピンするときに両腕を縮めると回転速度が上がる。質量が身体の軸に集中するからである。そして腕を広げると速度が落ちる。これは「角運動量保存の法則」と呼ばれ地球の自転にも当てはまる。
「潮の満ち引きの摩擦により、地球の自転速度が落ちるというのは理由としては弱いと思う。角運動量保存の法則に従えば地球の減速は地球の膨張と密接に関係しているはずだ。1年に0.7秒づつ減速しているということは地球の周囲が19cmづつ増加しているということである」とマイル教授は言う。
地球46億年の歴史で、宇宙から地球を観測するようになったのは、わずか50年。しかしその間に技術は飛躍的に進歩し、より正確に地球を計測できるようになった。そのデータをもとにNASAが作成した地形図を見ると、地球が文字通りはち切れそうな状態であることが判る。
太平洋では地殻の裂け目が年に15cm広がっている。大西洋でも年に3〜4cm拡大している。地殻の割れ目からは高温の噴煙が上がっている。(深海底熱水噴出孔の映像)これがマイル教授の言う膨張なのだろうか。
地図製作者は異なる見解を示している。地球物理学者のポール・ローマン博士"Dr. Paul Lowman, Geophysicist"(NASA Goddard Space Flight Center:ゴダード宇宙飛行センター)は多くの物理学者同様、地球の大きさは変わらないと考えている。プレート・テクトニクスの理論を用いて南太平洋のナスカプレート"Nazca Plate"を例に説明をしてもらった。
「ナスカプレートがここ(太平洋プレートとの境界)から離れて、東に移動していきます。そしてやがて、ペルー・チリ海溝にぶつかる。ここが沈み込み帯だ。ナスカプレートは南米プレートの下に400〜500km沈み込んでいる。」ポール・ローマン博士は言う。
こうした深さで沈み込みが起きると言われている。漂っている2つのプレートが衝突すると、海洋プレートが大陸プレートの下に押し込まれる。そして上部マントルまで押し込まれ、そこで融解する。このように全体としてはプレートの運動は相殺される。
プレートの沈み込みは科学的に証明できるのだろうか?
「実際に400〜500km下のものを計測することはできない。しかし、ペルー・チリ海溝付近では頻繁に大規模な地震が発生する。地震学者はどの沈み込み帯が、どの方向にどれほどの速度で移動したのか割り出すことができる。」とポール・ローマン博士。
この、プレートテクトニクス理論、つまりプレート同士が互いの力を相殺するという考え方を地球膨張論者は受け入れない。
しかし、どちらの説も極地探検家、アルフレッド・ウェゲナーの理論に基づいている。1930年にグリーンランドで亡くなったウェゲナーは生前、「大陸移動説」を発表した。それが30年後に「プレートテクトニクス理論」に発展した。
ウェゲナーはアフリカ大陸と南米大陸の海岸線が一致することから、かつてひとつであErった大陸がふたつに分かれたと提唱した。「超大陸パンゲア存在説」である。今の諸大陸がひとつの巨大な大陸を形成し、四方は海に囲まれていたとする説である。
ウェゲナーの理論は他にも応用されている。物理学者のオット・クリストフ・ヒルゲンベルグ "Ott Christoph Hilgenberg"はウェゲナーの理論を発展させた。彼が1933年に作成した模型を娘が展示している。最初の模型では今よりも小さい地球を全ての大陸が覆い尽くしている。このとき地球に海は存在しない。地球が徐々に成長し、大陸が離れていく様子が4つの模型によりはっきりと見て取れる。
ヒルゲンベルグは成長する地球の理論を発表した。(Vom wachsenden Erdball, O.C.Hilgenberg, Berlin 1933の小冊子の映像)
ベルリン工科大学の中央ホール。地質学者のカール・ハインツ・ヤコブ教授"Prof. Karl-Heinz Jacob, Ore Geologist"の提案により、ヒルデンベルグの4つの地球の模型はここに4年間展示されていた。しかし、その後展示は中断された。展示の可否について論争が起きたのである。ベルリン工科大学が地球膨張説に関する学内での取材を許可しないため、ヤコブ教授に学外でのインタビューを行った。(ヤコブ教授が大学の入り口から外に出てくる映像w)
「今の科学界は地球膨張説に全く耳を傾けようとしない。主流派の地質学者や研究グループは他のテーマにばかり目を向けている。『地球膨張』という言葉を出すだけで大騒ぎになる。」とヤコブ教授。
かつては状況は違った。1965年には地球膨張についてのテレビ番組も制作された。科学番組で活躍したハリス・ハーバー教授"Prof. Heinz Habel"は地球を膨らませて見せました。
(ハーバー教授がVHSビデオをデッキに挿入し、1965年の番組で若い教授がテレビに映し出される映像)
「こうすると2つの大陸がどのように分かれたか、S字型の大西洋がどのようにして生まれたのかが非常に良くわかります。」若い、ハーバー教授が説明する。
(円形の風船にパンゲア大陸を貼り付け、風船が膨らむことにより大陸が離れていく映像)
地球膨張説によれば、数億年前の地球は今の半分ほどの大きさしかない。つまり、地球はほぼ大陸で覆われていたことになる。この説によれば地球はとてつもなく成長し、海洋ができたのはこの3億年の間ということになる。
ヤコブ教授は地球膨張説の論文リストを共同で編集した。その数は1000件以上に上る。(書籍「Why expanding Earth?」の映像)
ヤコブ教授の専門は鉱床学、鉱石が集まる場所の研究である。彼は調査でよく見る現象に注目した。固い花崗岩に割れ目ができ鉱物で溢れている。(森の中の岩の裂け目にヤコブ教授が入っていく映像)
ここで産出された蛍石は工業用に採石される。この巨大な蛍石の回廊はバイエルンの鉱山にある。(鉱山内部の映像、岩が大きく縦に裂けている)ヤコブ教授によればこの割れ目は地震で一瞬にしてできたわけではなく、徐々に形成されたものだという。ここでは花崗岩の壁の隙間を埋めている蛍石を見ることができる。この帯状の鉱物である。(花崗岩の間を白い蛍石が層状になった映像)あちこちから花崗岩の断片がぶら下がっている。従来の地質学では、こうした断片が落ちずに蛍石の中に埋まっている理由は説明できない。地震で一瞬にして裂け目ができたのであれば、花崗岩は落ちてしまうはずだが、頭上にあるのである。こうした割れ目が鉱物でいっぱいになるには長い年月がかかるため、地震でできたとは考えられない。
「割れ目は外からの力で無理やり開けられたと考えられていたが、そうではなかった。最近認められた理論によれば、下から上がってきた流動体、これはいずれ鉱物に変化していくが、それが両側の壁から出ようと、外に押していくのである。こうして割れ目は徐々に開いて行ったのだと考えている。ヒルゲンベルグは彼の著書の中で最初にこの理論を紹介している。彼の残した図は、地球のひずみの変化により、どうしてこのような裂け目ができたのかを良く示している。」
こうした割れ目は地上でも見ることができる。この高さ30mの石英の壁は近くに出来た割れ目を埋めていた。この壁を覆っていたキャップロックは2億7千万年をかけて浸食された。バイエルンにあるこの石英の壁は近くにある蛍石の回廊に並行して存在し、地質学的に関連している。
「今見ている壁は160km続く壁の一部にすぎない。そして我々が目にすることができないものはこの壁の誕生とも関係のある数100mの地表の隆起である。どうしてこのような構造ができたのかその理由はひとつしかない。それは地球の膨張である。」とヤコブ教授。
ベルリンに戻る途中、ザクセン州のベルドーでヤコブは講演を聞いた。クラウス・フォーゲル"Klaus Vogel, Globe Maker"が模型を使って地球の膨張について説明している。昼間は建設技師として働くフォーゲルだが、実はこの30年間、地球の膨張について研究を進めてきた。フォーゲルもはるか昔の小さな地球に大陸を配置していくが、彼の模型はユニークである。
それがフォーゲルの傑作、「地球の中の地球」である。
「大陸同士の位置関係は同じである。また、隣の大陸に対して傾いていることもない。それぞれの大陸の輪郭もそれほど変わっていないし、単に拡大している。」とフォーゲル。
ワークショップで使用するため、ゴムボールに大陸を張り付けたモデルを製作するフォーゲル。
「大陸の地殻は紙を二重に貼ってある。これは大陸の地殻が海洋の地殻より厚いことを再現している。このほうが現実に近いモデルになる。ボールを膨らませると一番弱い部分から裂けていく。そこに表れるのが海というわけだ。」
フォーゲルがボールに空気を入れると二つの大陸、南極とオーストラリアが分かれた。
「オーストラリアとカリフォルニアの間に表れた一番古い海が太平洋だ。」
この時、現実の海底では驚くべきことが起きている。山脈が生まれているのである。海洋の地殻が裂け、そこからガスや溶岩が吹き上がり山脈を作り出すのである。これが地球膨張説を後押ししている。海底山脈が成長すると音を立てながら海から表れることもある。その良い例がアイスランドである。
この間欠泉の島は太平洋中央海嶺そのものである。(アイスランドの間欠泉の映像。)陸に見られる海嶺には割れ目が走り、ユーラシアプレートと北米プレートが分離している様子がはっきりとわかります。
では大陸の中央にある山脈はどのようにしてできたのだろうか。
プレートテクトニクス理論によれば、このような山脈は2つの大陸が衝突して形成されたと説明している。衝突したときの力で岩盤が押し上げられる。ヒマラヤ山脈はできて数千万年経過した現在でも隆起し続けている。
では、海洋プレートと大陸プレートがぶつかった場合はどうだろう?
海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むことはすでに述べた。この時、解放された力によっても山脈が形成される。プレートテクトニクス理論によれば、こうして形成されたのがアンデス山脈である。
しかし、地球膨張論者は異なる理論を展開してきた。
1965年のTV番組で若いハーバー教授が説明する。
「それでは私のこぶしを使って説明していきましょう。握ったこぶしを太古の地球としましょう。こぶしをきつく握っているので皮膚はなめらかです。では地球が膨らんでいったらどうでしょうか。ちょうどこぶしを開いていく様子に似ています。でこぼこしていたところが平らになりました。皮膚のひだが山脈のようになっています。」(ひふのひだが盛り上がった様子の映像。)
ヒルゲンベルグは75年以上前に、著書の中でこのひだを図解していた。
しかし、この理論はもはや受け入れられていない。
ヤコブ教授は新しい理論を考え出した。これで地球膨張説を否定するプレートテクトニクス論者を打ち破れるかも知れない。山脈は大陸の衝突でしか形成されないとプレートテクトニクス論者は言う。
これはヤコブの数年に亘る実験である。砂をつめたガラス瓶に金属の電極を差し入れる。次に砂を湿らせてふたを閉め、1.5Vのバッテリーを電極につなぐ。そして2〜3週間ビデオカメラで撮影する。
早送りでみると、まず鉄塩の層がビンの中に表れる。次に沈殿により帯状の構造が表れる。ここで見られる電極反応は科学的には知られていないが、地質学的にはとても意味がある。あのドイツの鉱山で見た固い岩の中の巨大な帯もこうして形成された可能性がある。(ビンの中に地層が形成されていく映像。。)
「この現象は自己組織化、つまりパターンが自律的に形成されるプロセスと似ている。家庭で使用するような電池が作り出す電場は自然界の電場に比べればはるかに弱い。」とヤコブ教授。
それでも重力に逆らってビンの中にはひだや山のような構造が形成された。
しかし、自然界ではこうした構造は常に浸食されている。
ヤコブ教授はプレートテクトニクスによる物理的な力だけが山脈形成の要因ではないと信じている。電気で促進される化学反応も重要な役割を果たしている。
「これはアルプスやヒマラヤのような大山脈についてもいえることである。しわを寄せたような山脈、褶曲山脈の成り立ちを説明できるということは、どんな地質学理論よりうまく山脈形成について説明できるということです。」ヤコブ教授。
この発見は地球膨張の証明にはならないが裏付けにはなる。プレートテクトニクスを使わずに山脈形成を説明できるからである。
仮にこの理論が事実だとすれば、地球はどのようにして膨張しているのだろうか?
これまでにも様々な説があった。地球内部の熱により風船のように膨らんだ、という説もあった。ヒルゲンベルグはエーテルという物質を吸収して膨張していると言っている。光を伝えるためにはこうした媒質が必要だと長年考えられていた。またノーベル賞受賞者のポール・ディラックは宇宙が膨張するにつれ、重力は小さくなると考えていた。
「重力が徐々に小さくなるということは、地球を構成している様々な物質同士を結び付けている力も徐々に小さくなるということである。そしてその力が小さくなるにつれ、地球はどんどん膨張していくというわけである。」1965年のハーバー教授。
もし、重力が小さくなっているとすれば数億年前の重力は今よりずっと大きかったことになる。しかし。かつては恐竜が地球を支配していた。これはつじつまが合わない。
Dr. Bernd Herkner, Palaeontologist
「今よりも恐竜の時代のほうが重力が大きかったとすれば、我々古生物学者は、なぜ恐竜があれほどの大きさになったのか説明できない。重力が大きければもっと小型だったはずだから。だから、恐竜のサイズと重力は関係なく単に恐竜は哺乳類とは生理機能が異なると考えている。それであそこまで成長したのだろう。」
恐竜の体重は最大100tほどあったと言われている。恐竜がここまで成長した理由には諸説あるがいまだによくわかっていない。しかし、マイルとヤコブには共通の説がある。2人はフランクフルトにあるティラノサウルスの模型の下で落ち合った。
「見てください、陸の恐竜がなぜあれほどの体重を支えられたのか、みな躍起になって突き止めようとしています。」ヤコブ
「体重が80tになれば倒れてしまう、骨が耐えられませんからね。」マイル
しかし、そのころの地球の重力が今よりはるかに小さいと仮定すれば説明は簡単だ。
「そのころから重力が大きくなっていったのではないかと考える。そして考えられる理由はひとつしかない。地球の質量が増えたのである。」とマイル教授。
「ええ、その通りだ。同じ考えを持つ古生物学者を大勢知っているが、誰もそれについて公に話そうとはしない。現代の科学界において地球質量の増大について発言することはタブーになっているからだ。」ヤコブ教授。
どこからか、何かを取り込まない限り地球の質量は増加しない。そして、その源として唯一考えられるのは宇宙である。
ヒルゲンベルグは宇宙からエーテルを取り込んでいると唱えたが、エーテルが質量の源であるとはもはや誰も考えていない。アインシュタインがエーテルの必要性を否定したからである。しかし、別の粒子が新たに発見された。それは、星の核融合反応で誕生する。つまり、太陽でも生まれている。
ニュートリノである。
ニュートリノは電荷を帯びおらず、質量もほとんどないため、地球に何の影響も残さずすり抜けていく。最新の研究によると太陽から地球にやってくるニュートリノの数は親指の爪ほどの面積に対し、毎秒600億個である。
「地球が膨らむことに対する、十分な物理的モデルがないことが地球膨張説の障害となっている。私個人はニュートリノのエネルギー、パワーを信じている。どういうことかと言えば、宇宙や太陽から地球に入ってくるニュートリノ放射が地球の核に吸収され、物質に変わっているということである。」マイル教授。
この理論は正統派の科学者にとって異端である。
しかし、マイルのニュートリノ・パワーによれば、地球膨張を説明できるばかりでなく、質量の増加も説明できる。
マイルのニュートリノパワーの仮説は地球の膨張を説明するだけではなく、現代物理学を根本から覆してしまう可能性がある。
この仮説はマイルが1990年に発表した電磁場の理論を発展させたものである。
計算式を使えばニュートリノの数さえも求めることができる。
物理学者の主流派はマイルの理論を認めていない。しかし、彼らの理論もまた、答えられないことのほうが多いのである。
1980年代に現代物理学史上最大級のプロジェクトがイタリア中部のアブルリッツで始まった。グランサッソの山の地下400mのところに3つの巨大なトンネルが掘られた。それぞれのトンネルにはニュートリノを計測する巨大な施設がある。宇宙から飛来する様々な粒子を遮断し、ニュートリノだけを観測できるようになっている。
1990年代にはガレックス実験により太陽から飛び出してくるニュートリノの存在が証明された。科学者は検出されたニュートリノの数から地球を通過するニュートリノの数を算出した。すると予測した数の半分以下しかないことが判明した。
素粒子物理学者たちは頭を抱えてしまった。
これが「ニュートリノ欠損問題」である。
Piero Monacelli教授 Particle Physicistはいう。
「現在ではニュートリノには三種類あることが判っている。そしてニュートリノ欠損はニュートリノがある種類から別の種類に変化することにより起きる、ということが判ってきた。これまで行ってきた実験では一種類のニュートリノしか検出できなかったために、予測した数よりも少なかったというわけだ。」
しかし、この問題もいずれ解決されるだろう。
2006年5月に始まったオペラ実験で、ジュネーブ郊外の欧州合同原子核研究所CERNからグランサッソに向けてニュートリノを飛ばした。
この実験でニュートリノは振動すること、言い換えればニュートリノは別の種類に変化することを5年以内に証明しようとしている。
「まず、ここから500km離れた研究所CERNで作ったニュートリノをここ(グランサッソ)まで飛ばす。このニュートリノは一種類の純粋なものである。我々の目的はこのニュートリノと別の種類のニュートリノを検出することである。別の種類のものが検出されればニュートリノが振動することを立証できる。振動するということは質量があるということである。ニュートリノの質量については十分に分かっていないため、これは重要な実験です。」ピエロ・モナッセリ教授
ニュートリノ放射の存在に最初に気づいた科学者はスラブ人のニコラ・テスラである。彼はそのパワーを実際に使ったとも言っている。テスラは1884年にアメリカに移住した。そこで彼はエジソンの最大のライバルとなった。エジソンは直流電流を推進していたが、テスラの交流電流が勝利し、その後も使われるようになった。テスラは700以上の特許を持ち、最高裁の判決により無線電信の発明者としても認められた。しかし、その業績は今ではほとんど知られていない。
テスラの生誕150周年にスイスのチューリッヒ工科大学で講演会が開かれた。その時スイステスラ協会の招きでマイルが基調講演を行った。
マイルは1932年2月6日付のニューヨークタイムズに掲載された記事を紹介した。その中でテスラは太陽からやってくる放射線について述べている。それは驚きほど小さな粒子から成り数千kmの個体もすり抜けるとしている。これらは今日、ニュートリノの性質とされているものである。
ニュートリノの影響は日食のときに特に大きいと考えられている。月が太陽の前を横切るときレンズのような働きをし、ニュートリノを集めるからである。そしてこれが地球の自転に影響を与えると考えられている。
1999年の日食でもこのような自転の振れが記録されている。オーストリアのクレムスミュンスター天文台では日食のときに53mの振り子を振らせた。その時振り子はゆるやかで規則的な振動を異なる動きを記録したのである。
日食のときに起きるこの現象は秘密でも何でもなくNASAのホームページでも報告されている。最初に気づいたのはフランス人のノーベル賞受賞者モーリス・アレで1950年代のことである。アレは多くの日食で振り子の振れを観測しました。この振れは「アレ効果」と呼ばれています。
録画されたクレムスミュンスターの振り子の軌道は日食開始から6時間後、予測された軌道から10度外側に外れていた。これは目を見張る結果であり、理由として考えられるのは地球の自転の加速である。しかし、興奮もつかの間、検証によってこの振り子きは正確ではないと判断され結果を取り消されてしまったのである。
しかし、今は精密な新世代の振り子、パラコニカル・ペンダラムがある。ボールの上でバランスを取っているためあらゆる方向に揺れる。振動の角度はレーザーで計測する。重力研究所が行った最近の計測では2006年9月の日食のときに振動の角度が急激に変化した。科学者たちの意見は様々である。
マイルは振り子の実験の他にも1999年の日食のときに地球の自転速度が上がった証拠があるという。遅くなった地球の自転速度に合わせて加えられてきた「うるう秒」である。
1972年以降、ほぼ毎年うるう秒が加えられてきたが、1999年から2005年の間は加える必要がなかった。地球の自転速度が速くなったからである。
「地球の自転速度の加速は、1999年の皆既日食によって引き起こされた可能性がある。」とマイル。
皆既日食の5日後、トルコで大地震が発生し、2万人が死亡しました。トルコは皆既帯、つまり最も暗くなる地域の中心にありました。講演会などでマイルはこうした地震は日食によって引き起こされた可能性があると述べている。
マイルによれば月のレンズ効果によって束ねられたニュートリノ放射が地球の核の片側にぶつかる。それにより、核に不均一な圧力が加わり一方向に引っ張られるという。(地球のコアが歪むアニメーションの図)このように部分的に引っ張られることにより圧力波が生まれ、それがマグマを抜けて地表に伝わる。
2006年3月、ヨーロッパで部分日食が観測された。その日、シュバルツバルトのテクノロジー・パークでマイルは講演を行った。3月29日である。マイルは振り子を設置し、実演して見せた。日食が始まる直前、マイルは電波時計の傍らで大胆な予測をした。
「私は大きな地震が起きると思っています。ただし、トルコの上空を日食の影が通過する時ではなく、おそらく、その数日後になるでしょう。」とマイル。
ヨーロッパ上空では部分日食だが、トルコと地中海では皆既日食が見られた。
「2006年に日食の影が進む方向はこうなります。(投影されwた地球儀に線を描く)地球を上から垂直に見てみると、ここに地球の核があります。2本の線が東地中海で交わっています。私はここで地震活動が起きると予想しています。」マイル
翌日(2006年3月30日)、キプロスの付近で中規模の地震があった。その中心は皆既帯からさほど離れていなかった。
「日食が終わってからこの地震がおきるまでにはそれほど間がありませんでした。ですからこれは前兆だったと考えています。地球の核が引っ張られて、地表に圧力波が伝わり地震が引き起こされるまでにはかなり時間がかかるからです。」マイル
日食の2日後(2006年3月31日)クレタ島付近で中規模の地震が発生した。皆既帯の端の位置である。同じ日イラン西部を激しい揺れが3回襲った。5日後ギリシアのザギントス島付近で地震が頻発し始めた。2週間、島民たちは眠れぬ夜を過ごした。比較的地震の多いこの地域にしても長だ。地震学者はこの検証について触れながらも日食との関係は否定している。しかし、驚くべき一致である。
ヤコブは地震予知の難しさを知っている。どの日食でも陰になるのは地殻の一部で、その地殻は様々な物質で構成されているからである。
「地殻の中でエネルギーのやり取りが起きていることは容易に想像できる。互いに増強したり相殺したりしながらやがてエネルギーは消滅する。いずれにしても陸の地震や海の地震を科学的に調査することは緊急の課題であると思っている。」ヤコブ。
2006年の太陽放射は1999年の太陽放射より弱いものだった。そのため1999年の地震のほうが大きかったと考えれば説明がつく。地球膨張説が唱えるニュートリノ理論によれば、宇宙放射の変動により地球の成長も一定ではなかったとされる。
太陽もまた成長している。天体物理学者によれば数十億年後、巨大化した太陽によって地球上の生命は絶滅すると考えられている。この現象にニュートリノは関係しているのだろうか。
ニュートリノが宇宙で起きている誕生や崩壊に関係していることは確かである。はたしてニュートリノの海がアインシュタインが存在を否定したエーテルなのだろうか。
天体物理学者は真剣に言う。「核融合のための燃料を使い果たしたとき、太陽は膨張するだろう。」
しかし、マイルの見方は違う。彼の見方では太陽はすでに成長している。その原因は地球と全く同じ、宇宙のニュートリノ放射である。太陽は光とニュートリノだけではなく電子を帯びたスペクトル、「太陽風」も地球に送っている。太陽の活動によって強弱はあるが地球はただその前を通過していく。地球は磁場によって、この太陽からの放射、太陽風から守られている。その磁場がこの数百年の間、徐々に弱くなっていることが判っている。数千年後には地球の磁場が弱くなって消滅し、逆転してしまうだろう。すでに地球上には磁場に異常が表れている場所がある。遠からず極をいくつも持つ秩序のない磁場が生まれ最後には北極と南極が入れ替わってしまうだろう。
科学者によれば最後に磁極の逆転が起きたのは70万年前。しかし、計算によれば20万年に一度起きるはずだという。次の逆転はずいぶんと遅れている。
イタリア、アブルリッツ州にある、グランサッソ研究所の地下施設には巨大な装置がある。「ニュートリノ望遠鏡」である。
1千トンの溶液が超新星爆発によって地球にやってくるニュートリノを捕まえようと待ち構えている。
もの凄い輝きを放つ超新星爆発が銀河で見られるのは100年から200年に一度しかない。マイルは超新星爆発で生まれる強力なニュートリノシャワーが地球の成長の引き金になったのではないかと考えている。またニュートリノ放射が磁極逆転(ポール・シフト)に影響を及ぼす可能性があるという。
「太陽風は電気を帯びた粒子から成り太陽の電場に沿って進む。地球はこの電場の中を垂直に移動している。ファラデーの単極誘導によればこの時磁場が誘導されるが、この磁場は電場に対し垂直で、また地球の運動の方向に対しても垂直になっている。もし、ニュートリノ放射が増えると太陽活動がさらに活発になり、その結果地球の電磁場も強くなるというわけです。今ある地球の磁場はやがて消滅するでしょう。そして個々の磁極が突然地球の磁場に一列に並ぶと考えている。磁極の逆転によって北極と南極が入れ替わると方位磁石と同じ現象が起きる。磁気を帯びた針を180度回転させても、再び元の方向を指します。これと同じことが地球でも起こりうるということである。」マイル。
マイルの仮説が正しければ地球は逆さまになる。地上には海水が押し寄せ大洪水になり世界規模で巨大な津波が発生するだろう。
ドイツ、ザクソン州、ベルドー。地球の模型を作製している、クラウス・フォーゲル。80代の彼は大洪水のことは心配していない。旧東ドイツが無くなるまで、そこで暮らした彼は普通の人が引退する年まで一時国のものになっていた家業を復活させた。(フォークリフトで建築資材を運ぶ映像。)
フォーゲルの成長する地球のコレクションはユニークだ。日夜改良を重ねて世間に発表している。ベルドーの中学校で講義をしている。社会主義時代には地球科学者から講演を依頼されることもあった。
しかし、時代は変わった。ここにいる中学校の生徒たちの教科書には地球膨張説はどこにも載っていない。だからこそ、若者が彼の模型に興味を持ってくれることがうれしいのである。
「シェイクスピアの言葉を借りれば、天と地の間そして地球の内側にも、哲学など思いもよらないことがあるということだ。」とフォーゲル。
シェイクスピアの一説に加えられた、地球の内側、そこで何が起きているのか確かなことは何もわからない。つまり、科学を盾に地球膨張説を切り捨ててしまう理由はない。ですが、この理論は本当に私たちの地球の常識をひっくり返してしまうのであろうか。
やっと最後まで文章書き起こしました。画像、関連リンクは追って追加します。
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