2012年02月03日

深海7000mで超巨大なヨコエビを発見




※体長28cmの巨大ヨコエビ

超巨大なヨコエビは、海洋で最も深い場所への探査で発見されました。
深海で最も奇妙な創造物の一つです。

端脚目の動物(ヨコエビ類)は、深海探査において特に一般的で多数見つかる甲殻類の一種です。

深海で見つかる一般的なヨコエビの大きさは2〜3cmです。例外としては南極海で発見された10cmまで成長する「巨人」と呼ばれる大型のヨコエビがあります。

※今回採取された普通の大きさの体長2〜5cm程度のヨコエビ。持っているのはジェーミソン博士。

しかし、科学者たちは南極の「巨人」が小人に見えるほどの「超巨大」なヨコエビをニュージーランドの北の海域で発見しました。

新たに捕獲された標本の大きさは28cmです。これは通常のヨコエビの約10倍の大きさです。
大きさが約34cmと推測される「超巨大ヨコエビ」も映像に捉えました。

この発見はアバディーン大学 "University of Aberdeen"とニュージーランド国立水・大気研究所(NIWA)の科学者たちによる、ニュージーランド北部のケルマデック海溝 "The Kermadec Trench"への遠征中に行われました。

NIWAの学術調査船カハロワ号 "Kaharoa"による遠征には、ニュージーランド国立博物館テ・パパ・トンガレワ "Te Papa Tongarewa"および、アメリカのホイットマン大学 "Whitman College"からの研究者も乗り込んでいました。

アバディーン大学海洋研究所の、特別な超深海探査技術によって設計された機材を使用して研究チームは水深6900mから9900mにカメラと大きな捕獲装置を配置しました。

※探査機材その1 ワナを複数備えた機材。


※探査機材その2 カメラとワナを備えた機材。

研究チームは、約水深7000mで1950年代の初めに捕獲されて以来発見されていない、クサウオ科の魚 "snailfish" を捕獲することを望んでいました。

アバディーン大学海洋研究所の研究(航海)リーダー、アラン・ジェーミソン博士 "Dr. Alan Jamieson "は次のように述べました。

「捕獲装置が船の甲板に上がってきた瞬間、我々は年月を超えて現れたクサウオ科の魚 "snailfish" を見て大喜びしました。」

「しかし、数秒後に私は考えうるよりはるかに巨大なヨコエビを見て、喜ぶのを止めて考えた。『あれは地球の生物なのか?』」

超巨大ヨコエビを意味する "Supergiant"は少数の巨大な標本が1980年代の初めにハワイでアメリカの科学者により発見された後に造られた用語です。

1970年代にはいくつかの発見の報告があった、超巨大な端脚目の動物(ヨコエビ)はそれ以降報告されることはなく、今まで不可解な深海生物の領域に消えていました。

今回の目撃情報と捕獲された標本はこれまでに捕えられた巨大ヨコエビの大きさと、発見された深度の両方を更新しました。

7体の標本がわなで捕獲され、9体以上がカメラで撮影されました。

※捕獲された大小の巨大ヨコエビ

捕獲された最大の標本は体長28cmでしたが、カメラには34cmと見積もられる個体が撮影されました。

ウエリントン大学からNIWAに派遣されていたアシュレイ・ローデン博士"Dr. Ashley Rowden"は次のように述べました。

「見つけても見つけても新しい発見がある。これほど大きく目立つ動物が長い間見過ごされていたということは、いかに我々がニュージーランドで最も深い海溝について知っていることが少ないか、ということである。」

ジェーミソン博士は次のように付け加えました。

「驚くのは、我々が過去2回この海溝を探査しているのに、以前にはこの巨大ヨコエビに遭遇していない、ということです。」

「実際にこの発見の数日後に、同一海域に設備を再び設置しましたが、ただの1匹もこの生き物は捕獲もされず、撮影もされませんでした。彼らは一日だけそこにいて、どこかへ行ってしまった」

今のチームの課題は、これらの新しいサンプルがハワイのものと同じ種であるかを同定することです。その次は、深海ヨコエビの数百種のうち、これらのものが非常に大きくなるように進化してきた理由を解明することです。

今月、研究チームの遠征が終了するまでは、これらの巨大ヨコエビの標本はニュージーランド・ウエリントンで保管されます。

この遠征の資金はNIWAからの追加融資、およびスコットランド海洋技術と科学連合(MASTS)、フランスの財団の援助で行われました。

※この記事はアバディーン大学の公式プレスリリースの翻訳(全訳)です。
http://www.abdn.ac.uk/news/details-11497.php
さすがというか、英語の良文のお手本のようなきれいな英文だったので、すらすら訳せましたw

アバディーン大学(University of Aberdeen)は、スコットランド・アバディーンに所在する大学です。1495年に設立された古代の大学 (ancient university) を前身とし、スコットランドでは3番目、現在の英国および英語世界で5番目に長い歴史を持っています。著名な出身者も多く、ノーベル賞受賞者を5名も輩出しています。

ニュージーランド国立テ・パパ・トンガレワ博物館とニュージーランド・水・大気研究所(NIWA)は以前、ダイオウホオズキイカの記事を書いた時にも出てきました。

今回はイギリス連邦の調査隊の成果です。しかし、日系のToyonobu Fujii氏も調査隊に参加しています。ダイオウホオズキイカの解剖にも日本人科学者の窪寺恒己博士が参加していました。日本人研究者が世界で活躍しているのはうれしいものです。


写真左からフジイ・トヨノブ博士(アバディーン大学 オーシャンラボ研究員), アラン・ジェーミソン博士(アバディーン大学)、アシュレイ・ローデン博士(NIWA)


巨大ヨコエビを持つアラン・ジェーミソン博士


1899年に発見された"Alicella gigantea Chevreux" の写真。


大学公式リリースのビデオ3本と写真4枚スライドショーをつないだ動画。

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【関連リンク】
蒸しエビなら何人分?体長29センチの「超巨大エビ」発見 日本語のニュースはここだけかな? AFPBB News
‘Supergiant’ amphipods discovered 7 km deep
アバディーン大学公式プレスリリース。大きな画像4枚とHD画質のAVI動画3本あります。
アバディーン大学ビデオサイト この発見のビデオがあります。
アバディーン大学海洋研究所ニュースリリース 海洋ラボのサイトにもニュースが出ています。
アバディーン大学 - Wikipedia 日本語Wiki。結構詳しい。
MASTS スコットランド海洋技術と科学連合、公式サイト。
Alicella - Wikipedia 本種のWiki(英語のみ)。今回の発見がすでに反映されています。
端脚類 - Wikipedia 端脚類の日本語Wiki。

巨大エビ発見のニュース(英語)代表的なところを貼っておきます。
BBC News - 'Supergiant' crustacean found in deepest ocean
Scientists capture 'super prawn' - Telegraph
'Supergiant' Crustaceans Found Near New Zealand Discovery News
World's biggest 'prawn' discovered Mail Online

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posted by 桜 真太郎 at 13:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 巨大生物

2011年10月29日

世界最大のダンゴムシ 大王具足虫(ダイオウグソクムシ)


新江ノ島水族館に展示されているダイオウグソクムシ。

2000年を過ぎたころからでしょうか。テレビ番組の巨大生物や、びっくり生物でダイオウグソクムシが紹介されるようになりました。初見での、見た目のインパクトは相当なものです。普通は1cmに満たないダンゴムシが30cm以上の大きさなのですから。最大で40〜50cmにまで成長します。

ダイオウグソクムシより少し小さい、体長10cm程度のオオグソクムシ(大具足虫・大具足蟲)は、日本でも深海底引き網などの邪魔者として、大量に網に入ってきますので以前から有名でした。以前はこれでも大きさに驚いていました。

ダイオウグソクムシはオオグソクムシとともに、「深海の掃除屋」「深海の死肉喰い」(スカベンジャー:scavenger)といわれています。深海に魚などの死体が落ちてくると、ヌタウナギ、エンコウガニ、イバラガニなどの仲間とともに、もの凄い勢いで喰らいついて瞬く間に掃除してしまいます。この動画が良く判ります。


ダイオウグソクムシは日本近海では見つかっておらず、主にメキシコ湾、アメリカ東海岸などで捕獲されています。生態などはWiki(日本語)に詳しくまとまっています。

ダイオウグソクムシ(大王具足虫・大王具足蟲)の名前を解説すれば次のようになります。

大王(一番大きな)−具足(日本古来の鎧、甲冑を身に着けた)−虫・蟲(ダンゴムシ)

一見すると大きなエビのようで、セミエビやウチワエビに似た雰囲気もありますが、肉の量が少なく臭みもあるため食用には向かないとされています。

上の動画に映っている、オオエンコウガニやイバラガニが美味しく食べられるのに、ちょっと残念です。

以下、写真を紹介します。

新江ノ島水族館に展示されているオオグソクムシ。


オオグソクムシとダイオウグソクムシを同時に収めた写真。こんなに大きさが違います。


大きさ比較できるものとの写真。大きいですね。


えのすいに展示されている標本。オオグソクムシと比較しても大きい。



ダイオウグソクムシは2007年から神奈川県藤沢市にある、新江ノ島水族館で常設展示されており、いつでも生体を見ることができます。ただし、当初2体展示されていたものが、1体はすでに死んで、上記写真の標本になっているので、いつまで見られるかは不明です。(※2011年12月11日(日)に行った際、生体の展示が7体に増えていました。行っても見られない心配はなさそうです。)


※2012年6月10日撮影。6体のダイオウグソクムシに番号をつけて飼育しています。

新江ノ島水族館は海洋研究開発機構(JAMSTEC)と共同研究を行っており、「深海生物コーナー」は日本有数の充実度です。現在は深海の熱水鉱床を再現した「化学合成生態系水槽」がイチオシです。ハオリムシ類、コシオリエビ類、オハラエビなどの珍しい生物を展示しています。

以前にもオオグチボヤ、スケーリーフットの生体を日本初展示するなどの実績があります。

詳しくは公式サイトの「深海コーナー」紹介ページを参照してください。

深海生物マニアにとってはたまらない場所です。入場料2回分の料金で年間パスポートが購入できますので、深海生物ファンにはおすすめです。大人入場料2,000円のところ、4,000円で1年間有効のパスポートが購入できます。

私も当然、年間パスポートは新江ノ島水族館が開館の時から継続して所持していますが、最近は多忙のため中々行くことができません。(´・ω・`)ショボーン

鉄のウロコを持つ巻貝「スケーリーフット」の生体は是非見たかったのですが、間に合いませんでした。現在標本が展示されていてそれを見ることは可能です。

深海コーナーの生物は不定期に入れ替わり、本当に珍しい生物の生体を見ることができるので、定期的に見に行きたいものです。

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【関連リンク】
ダイオウグソクムシ - Wikipedia 英語に負けないくらい詳しくできています。(´Д`)
かがくナビ 科学ニュース 世界最大の“ダンゴムシ”を展示 えのすい展示のニュースと解説
新江ノ島水族館 えのすい公式TOP。年間パスポートおすすめです。
深海コーナー 新江ノ島水族館 えのすい深海コーナーのページ
世界最大のダンゴムシのなかま「ダイオウグソクムシ」(大王具足虫)の展示開始 特設の解説ページ
NOAA Ocean Explorer Gulf of Mexico 2002 英語。Wiki画像の本種をメキシコ湾で採取した際のレポート(画像あり)。
Deep Sea Isopod 英文の本種解説サイト。良い写真があります。

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posted by 桜 真太郎 at 08:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 巨大生物