2011年10月30日

奇妙な深海生物 Top10 "Deep Sea Creatures Top10"

深海には我々の想像もつかないような奇妙な生物が数多く存在しています。

その中から特に見た目のインパクトのある深海生物の画像と動画を選んでみました。

画像検索結果のリンクを日本語ではなく英語または学名(ラテン語)にしているのは、その方が良質の画像が多く出てくるためです。

世界から見ると日本語はマイナー言語ということが良く判ります。(´・ω・`)ショボーン

第1位 フクロウナギ 学名:Eurypharynx Pelecanoides 英名:Pelican eel(ペリカン・ウナギ)



フクロウナギの全身図(Wikiより


フクロウナギのアップ画像


フクロウナギが魚を捕食する動画。貴重!

私が小学生の頃にはフクロウナギは和名がまだなく、小学館の「魚貝の図鑑」の見返しには「ユーリファリンクス」と学名のまま書かれていました。当時、何の情報もなかった深海魚の写真が簡単に見つかるのは良い時代です。古くから知られている深海生物であるにも関わらず、新発見の生物にも負けない不気味さ、インパクトの大きさがあるので、1位にしました。

昔の「魚貝の図鑑」に載っている深海生物でもNo.1の不思議な魚でした。ちなみに昔の魚貝の図鑑は食べられるものに「食」のマークがついていて、美味しいとか、まずいということまで書かれていました。

フクロウナギ - Wikipedia 生態等、こちらでどうぞ。
Google画像検索 eurypharynx pelecanoides フクロウナギの検索結果。

類縁のフウセンウナギ目フウセンウナギの大きい写真。不気味!
Google画像検索 Saccopharynx lavenbergi フウセンウナギの検索結果。

第2位 スクイッド・ワーム(イカムシ) 学名:Teuthidodrilus samae 英名:SQUIDWORM




なんだこりゃ?英名がそのままイカムシ。イカのような体長10cmほどのゴカイの仲間です。2007年に東南アジア、フィリピン沖セレベス海の水深約2800メートルで無人探査艇によって発見され、後に環形動物門、多毛綱の下に新しい科が設けられた新種です。

新種のためWikiの日本語はまだありません。英語のWikiはもちろんあります。日本で報道された際は、「スキッドワーム」の名前で報道されていました。

良く似た生物で「ウミケムシ」がいますが、それに触手をつけた感じですね。

驚きの新種環形動物、スキッドワームナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト
YouTube Squidworm 無人探査艇の映像と捕獲の様子。
Google画像検索 画像たくさん出てきます。

第3位 デメニギス 学名:Macropinna microstoma(英名も同じ)


透明な頭をもつ深海魚デメニギス
全長15センチほどの深海魚デメニギス(学名:Macropinna microstoma)。

緑色の球状部分が円筒形の高感度の眼で、戦闘機のコックピットを思わせる頭部から真上に飛び出ている (写真)。通常の眼の位置にあるのは鼻に相当する器官だ。この写真は23日に公開されたが、撮影は2004年に行われていた。

アメリカのモントレー湾水族館研究所(MBARI)が、カリフォルニア州中央沿岸部沖の深海で生きたデメニギスを発見した。その軟らかく透明な半球状の眼球が無傷のまま見つかったのは同種では初となる。

1939年以降、デメニギスの存在は確認されていたが、引き揚げられる途中で魚網に絡んで傷だらけになってしまうのが常だった。

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2009024001&expand

この画像も2009年に公開され、衝撃的で話題になりました。透明な頭に緑の眼が透けて見えて、インパクトがあります。

上の記事に「引き揚げられる途中で魚網に絡んで傷だらけになってしまうのが常だった」とありますが、水から上げるとこのような姿になってしまいます。

生体の神秘的な姿とは大分変ってしまいます。


YouTube Macropinna microstoma 高画質の動画もあります。
デメニギス - Wikipedia 生態などはこちらをどうぞ。
Google画像検索 macropinna microstoma 画像たくさん出てきます。

第4位 コウモリダコ 学名:Vampyroteuthis infernalis 英名:Vampire Squid


こちらは有名な深海生物。しかし、何度見ても不気味で気味が悪い。英名のヴァンパイア・スクイッド "Vampire Squid" は直訳すれば吸血鬼イカ。外套膜がヴァンパイアのマントのように見えるためでしょう。

体長は約30cm。熱帯・温帯地域の約600から900mにかけての深海に生息しています。青白い光を発する発光器を持っていて発光します。

コウモリダコ - Wikipedia
Google画像検索 vampire squid 画像たくさん出てきます。

第5位 ミツクリザメ 学名: Mitsukurina owstoni 英名:Goblin shark

深海生物ファンなら、みなさまご存知ゴブリン・シャークです。NHK特集やTBSの「飛び出せ科学くん」でも取り上げられているので知名度は高いと思います。普通に遊泳している姿は少し鼻先が長い、ごく普通のサメです。

人食いザメではないので人を襲うこともない、おとなしい深海性のサメです。

普通に泳いでいるときはこんな感じです。少し鼻先の長いごく普通のサメに見えます。

しかし、このサメの奇妙なところは捕食時に顎が大きく飛び出すことです。

これは人為的にダイバーの腕を噛ませた画像です。ミツクリザメは通常人を襲ったり、噛んだりすることはありません。歯を見ても細く弱々しく大型動物にダメージを与えるような造りにはなっていません。この写真では顎が大きく伸びている様子が良くわかります。動画はこちら

まさに奇妙な深海生物です。

英語のゴブリン・シャーク "Goblin shark" はゴブリン:子鬼、悪鬼 + シャーク:サメの合成語です。この名前の由来は水揚げされたミツクリザメが真っ赤に染まり、顎が飛び出した悪鬼のような姿になることから名づけられました。

この画像をみれば、名前の由来は一目瞭然です。オーストラリア博物館のサイトに真っ赤になったミツクリザメの全身画像があります。

学名のMitsukurina owstoniは、発見者アラン・オーストン(A. Owston)と、東京大学三崎臨海実験所の初代所長であった箕作佳吉(みつくりかきち)に由来しています。和名のミツクリザメは漢字で書くと「箕作鮫」となります。日本で発見されて学名が付けられた深海生物です。生物学者にとって、新種の学名(ラテン語)に自分の名前を付けることは、最大の夢であり名誉の一つです。

標本は各地の水族館や博物館で見ることができます。新江ノ島水族館でも生体を展示した後の、ホルマリン漬けにした標本を見ることができます。日本で標本、剥製を見ることができるのは、しながわ水族館(東京都)、京急油壺マリンパーク(神奈川県)、葉山しおさい博物館(神奈川県)、世界クワガタムシ博物館(埼玉県)、駿河湾深海生物博物館(静岡県)などです。

えのすい(新江ノ島水族館)では2012年7月14日のリニューアルで、「深海U〜しんかい2000〜」が開設されました。日本が誇る深海探査艇「しんかい2000」とともに、ゴブリンシャーク(ミツクリザメ)のホルマリン漬け標本が、ラブカの標本とともに常設展示されています。

新江ノ島水族館に展示されている、ミツクリザメ(ゴブリン・シャーク)

ミツクリザメ - Wikipedia 分布や生態などはこちら。
悪鬼が泳ぐ!ゴブリンシャーク映像記録 えのすいで泳ぐミツクリザメ、顎が飛び出す映像あり。

第6位 オオグチボヤ 学名:Megalodicopia hians 英名:Predatory tunicate


オオグチボヤです。まさに「奇妙な生き物」です。深海200mから1,000m付近の海底に立っています。大きさは5〜25cm程度。日本では富山湾の群生が有名ですが、相模湾でも複数個体が見つかっています。

大きな口の中にプランクトンや小動物を捕まえて食べます。素早く口を閉じて小エビ(アミ類)を捕食する動画がありました。


新江ノ島水族館にも生体が1年以上展示されていました。私も何度も見に行きましたが、現在は展示終了しています。

これは2005年に世界初展示された時の写真です。

Predatory tunicate - Wikipedia(英語) Wikiは日本語なし。簡単な説明です。
Google画像検索 Predatory tunicate 画像検索結果。数はそれほど多くありません。
深海特集3 相模湾のオオグチボヤ えのすいがYoutubeに投稿した相模湾のオオグチボヤ動画。

第7位 マルス・オルトカンナ(和名なし) 学名:Marrus orthocanna(英名なし)

透明なガラスの釣鐘が並んでいるようにも、蘭の花をガラスで模したようにも見えます。

これは北極海の深海に生息するマルス・オルトカンナ "Marrus orthocanna"というクダクラゲの一種です。

釣鐘型の部分は泳ぐための器官で「泳鐘」と呼ばれています。オレンジ色の根っこに見える部分が消化器官と刺胞をもった触手です。オキアミ、カイアシ類などを触手で捕食し、オレンジ色の茎の部分から釣鐘の部分に栄養を供給しています。

これは他のクダクラゲと同様、1個体ではなく複数の個体がつながった群体です。北極海の水深200mから800mの深海に生息しており、最深では2,000mの場所でも目撃されています。

群体の長さは1-2m、触手は50cm程度まで広がります。完全体だとこんな感じです。意外と触手と消化器官の部分が大きく、刺胞を持った触手が長く伸びています。


発見されたのは意外と古く1942年。クランプ"Kramp"という人が発見者です。

これも不思議な生き物です。

Marrus orthocanna - Wikipedia 英語のみ。生態等はこちらから。
Marrus orthocanna, Arctic Ocean biodiversity 英語。簡潔なまとめ。文が短いのでわかりやすい。
marrus orthocanna - Google 画像検索 画像2ページ程度出てきます。

第8位 ウロコフネタマガイ 学名:Crysomallon squamiferum 英名:Scaly-foot gastropod / Armored gastropod




スケーリーフット、鉄のウロコに覆われた足を持つ謎の多い深海貝です。英名の"scaly-foot"は「鱗を持つ足」の意味です。正確には鉄ではなく硫化鉄のウロコです。

2001年にインド洋の深海で発見されました。深海の熱水噴出孔の付近に住む、いわゆる化学合成系の生態系を構成する生物です。オハラエビやユノハナガニなどと一緒にチムニーに群がっている写真が撮影されています。

今回、この項を書くにあたって、例によって「スケーリーフット」を調べましたが、驚いたことに日本語が一番充実していました。画像も学名、英名で検索するより日本語で「スケーリーフット」で検索すると良いものが多数出てきました。

理由はすぐにわかりました。海洋研究開発機構:JAMSTECが2006年と2009年に、日本が世界に誇る探査艇「しんかい6500」で調査を行い、多くの成果を上げているためです。WEBで検索して出てくる画像の多くが、JAMSTEC、あるいは共同研究者である新江ノ島水族館が発表した画像です。

この研究チームはまた、白い足をもったスケーリーフットを発見して世界を驚かせました。この白い足を分析すれば、人工骨や人工関節への応用が期待できるかもしれないということです。

白い足を持ったスケーリーフット。


チムニーに群がる白いスケーリーフット。ユノハナガニが一緒に見えます。

日本語が一番詳しい深海生物も珍しいけれど、ちょっと誇らしい気持です。

ウロコフネタマガイ - Wikipedia 英語と同等以上!
深海の奇妙な巻貝・スケーリーフットの大群集を発見 JAMSTEC公式プレスリリース
硫化鉄を纏わない白スケーリーフットを世界で初めて発見 JAMSTEC公式プレスリリース
世界中で話題になった「ウロコフネタマガイ」(俗称:スケーリーフット)、標本展示中! えのすい
2010年12月13日発表白いスケーリーフット、新発見! JAMSTECの子供向けページ。わかりやすい。
白いスケーリーフットを見つけた! JAMSTECの作成したポスター。PDF3.84MB。

第9位 ハオリムシ(Tube Worm) 学名:Lamellibrachia 英名:tube worms


1977年、アメリカ海軍の深海探査艇アルビン号(DSV Alvin)がガラパゴス諸島沖の深海で、海底から熱水が噴き出る「ブラック・スモーカー:black smokers 」、いわゆる「熱水噴出孔」を調査した際に発見された生物です。

チューブ・ワーム "Tube Worm"はいわゆる総称で、発見当時分類が不明なことから、チューブ状の管に入っていて、頭をのぞかせている虫、から名付けられました。

深海の硫化水素を含む高温の熱水域でバクテリアではない、高等生物が見つかったことも驚きでしたし、それが太陽光のエネルギーとは別の、地球内部のエネルギーを取り入れて生活する生物ということも当時衝撃的でした。NHK特集で放映されたときは食い入るように画面をみつめたものです。

熱水鉱床の付近にチューブワームが群生している映像はインパクトがありました。

最新の動画がYouTubeにありました。2011年7月13日に、ガラパゴス諸島付近の深海で撮影された動画です。

オハラエビ、ユノハナガニが一緒に映っているのは良いとしても、カサガイが映っています。深海性のカサガイ?

いやこれは、また調べますが、480dpiの高画質でチューブワームが撮影されているのは素晴らしい。

チューブワーム - Wikipedia 生態、発見の経緯等こちらから。
熱水噴出孔 - Wikipedia 発見の経緯、周辺の生態系など。
ジャイアントチューブワームとは? 本種の日本語による詳しい解説。
アルビン号 - Wikipedia 世界で初めて「熱水噴出孔」を調査した潜水艇。英語の方が詳しい。

第10位 ファンフィン・シーデビル(和名なし) 学名:Caulophryne Jordani 英名:Fanfin Seadevil




シーデビルとはチョウチンアンコウのことです。ファンフィンは分類上の「科:family」です。画像は良く出てくる不気味アンコウですが、名前の特定が大変でした。例によって日本語の情報が見つからなかったので。

発見は1986年、アメリカ人魚類学者のジョージ・ブラウン・グーデ "George Brown Goode"とタールトン・ホフマン・ビーン "Tarleton Hoffman Bean"が発見しました。

WEBで良く出てくる画像は2010年6月にオーストラリア、ケアンズ北東のグレートバリアリーフ沖、オスプレイ・リーフ "Osprey Reef"と呼ばれる海域で撮影されました。

7月15日、16日にイギリス連邦の各紙でニュースになっています。(リンク先に画像多数あり。)
BBC News - In pictures- バリアリーフで見られる珍しい海の生き物
Daily Mail - グレートバリアリーフで発見された信じられないような深海魚
Telegraph - グレートバリアリアリーフで先史時代の魚を発見

神秘的な生体の写真に比べてイラストにすると(´・ω・`)ショボーンという感じです。

※Wikiの画像。

このアンコウも他のアンコウ類の多くと同様、メスは写真のように大きくなりますが、オスの大きさは1.5cm〜2cmでメスにくっついて寄生状態で生活しています。

本当に不思議なアンコウです。

Fanfin - Wikipedia fanfin科アンコウのwiki。英語
Caulophryne jordani ? Wikipedia 本種のWiki(ドイツ語)。他はフランス語しかありません。
Caulophryne jordani - Google画像検索 画像2ページくらい出てきます。




10位以降は別記事で紹介します。

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沼津港深海水族館 シーラカンス・ミュージアム
国際海洋環境情報センター 「深海映像データベース」
海洋研究開発機構 「深海画像データベース」
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Crypto Zoology - Weird Creatures Found in a Trench in Russia ロシアで撮影された奇妙な深海生物
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posted by 桜 真太郎 at 14:59 | Comment(2) | TrackBack(0) | 深海生物